離婚家庭で起きる子どものおかしさは「片親疎外」のせいかもしれません。原因や症状についてまとめてみます。
概念には賛否があるらしい。
離婚家庭でなくても似たような事例は、家庭内で起きている気がします。
片親疎外で子どもの心がおかしくなる?
片親疎外は国際的に広く知られている離婚家庭のトラブルです。1970年代の欧米諸国にて心理臨床家による報告が、たびたびあがったことから問題視されるようになった背景があります。
1970年代には欧米諸国では共同親権の概念が生まれています。なので親権や監護権、面会交流における紛争が増加して片親疎外の問題が浮上。
世界と半世紀ズレた日本の家族観。
わかりやすく経済衰退国へ?
片親疎外症候群とは
概念を提唱したGardnerは片親疎外症候群をこう説明しています。
「主に親権・監護権紛争で子どもにみられる病的現象」で、「子どもが別居親に対して激しい一連の誹謗中傷を繰り返すこと」
※引用元: 離婚後の親子の面会交流に関する研究
片親疎外症候群の中核をなす3要素
片親疎外症候群には3つの要素が考えられるそうです。
- 別居親に対する一連の誹謗中傷や拒絶
- 不合理な理由による拒絶
- 同居親の言動に影響された結果としての拒絶
①はエピソードが単発的ではなく持続的で、②は別居親の言動に対する正当な反応といえない疎外。
③は情緒的虐待が背景にあり、親から子どもへの洗脳で、親の意向を子どもが自分の意向であるかのように意思表示する一連の流れが、片親疎外症候群の発生と提唱者は位置づけています。
片親疎外症候群は離婚問題でありがちなトラブル
片親疎外症候群は離婚問題にありがりな、ごくごく一般的なトラブルとして世界では知られているようです。また、実証データが不十分との見解もあります。単独親権制度下では見逃されやすい現象なので、近年になってようやく日本でも注目されるようになりました。
片親の子どもはおかしなくらい親を気遣う
片親の子どもは多くのケースで親に気を遣って生活します。両親揃っていても、顔色をうかがう行為などはあるでしょう。離婚家庭でかつ片親と疎遠になっている状況なら、子どもの心の負担は計り知れません。
気遣う背景はこんな感じ。
- お父さんもお母さんも大好き
- 同居親に嫌われたくない
- 別居親に捨てられたくない
子どもはお父さんもお母さんも大好き
子どもは両親から愛されたいと思っていて、基本的にはお父さんもお母さんも大好きです。夫婦関係と親子関係の混同が子どもの素直な気持ちを歪ませてしまいます。
子どもは同居親に嫌われたくない
子どもは親から嫌われたくありません。 同居親と日常を過ごしていますが、 片親なので家庭内に逃げ場がないケースもあります。嫌われないように叱られないように問題が起きないように、親の機嫌をうかがって過ごす子どもは少なくありません。
子どもは別居親に捨てられたくない
子どもは別居親と疎遠になっていると、捨てられたなどと勘違いするケースがあります。仮に片親疎外が発生しそうな生活環境であれば、親子関係をうまく構築できず、疑心暗鬼になるかもしれません。
片親の子どもはおかしな行動をとれる
片親の子どもは自分を守るために大人の前で姿を取り繕えます。子どもの通常の様子を知っていれば、その変貌に驚くかもしれません。
また、子どもは「今」を生きています。今への夢中により、心の葛藤を覆い隠せるだけでなく、葛藤があることにすら気づかないケースもあります。
辛い現実から目を背けて今をやり過ごす
子どもは辛い現実にぶつかったとき、困難から一旦目を背けて心を守ろうとします。そして自分の安心できる場所で、改めて現実と向き合って心を育みます。
このような幼少期の体験がレジリエンスを強め、ストレスにうまく適応できるようになってゆくのです。
子どものありのままを受容。
母に疎外的な態度をとるジロウ
お祭りがあったある日、7歳のジロウは不可思議な行動をとります。外的な要因で片親疎外されてゆく過程を垣間見た気持ちになりました。
タロウは父親に内緒で私をお祭りに誘いにきてくれます。ジロウは父方の親戚とお祭りにいくようすです。そして外出先で私はジロウに会います。タロウも私もジロウが私たちと一緒に、お祭りを回ると思っていました。
しかし私を見つけてもジロウは近寄るどころか、駆けてもきません。一緒に行動することを頑なに拒み、親戚のもとから頑として離れません。話しかけても俯いて返事も曖昧です。
何が起きた?
2日ほど落ち込み気付く母。
あとでジロウが答え合わせしてくれました。
バレたら怒られるやん。
母はタロジロの安全基地でありたいです。
片親疎外する親こそ心がおかしい
子どもに対して片親を疎外する親こそきっと心がおかしいです。親の心の安定は子どもの心の安定となります。子どもも家族となる結婚や離婚では親への支援も大切です。
今はもしかしたら子どもを愛せる余裕を、親がもちにくい社会なのかもしれません。もしくは愛し方を知らないのかも。子育ての考え方は世代間で連鎖します。違和感があれば親自身の生育環境を見直してみましょう。
片親疎外がおかしいと思える家族観へ
片親疎外的な概念は単独親権制下で発生します。共同親権制下では基本「両親」が存在するからです。
制度によって歪んだ家族観をもっている限り、私たちはなんだか生きづらいでしょう。 家族は社会の基盤です。子どもが親と絆を育む場所です。そして絆の育み方を覚えた子どもは社会へ巣立ち、また絆の家族をつくります。たぶん。
大きく価値観を変容させる時期がきています。
過渡期。
新しい世界へ。
パートナーとの攻防にかまけて、子どものSOSを見逃さないようにしましょう。
きっと大丈夫。
あなたもがんばって。