単独親権と虐待/親子に優しい制度が子育てを優しくする

単独親権を虐待から考察して私たちの社会通念を探します。虐待を親子や家族の問題としてとらえるだけでは社会は優しくなりません。

個の問題は社会の問題やで

家族の問題の陰にはたいがい「親権制」が潜んでる。

単独親権の概要と虐待の実態

日本の婚姻外単独親権制のルーツと虐待の実態数値をみていきます。

単独親権制は明治民法がベース

単独親権制は明治民法の家制度がベースになっています。親権はもともと「父権」で単独親権だったそう。戦後1946年に民法改正が実施されていますが、あらゆる影響により不全感を残したままです。単独親権制を含む現在の家族法には、家制度の名残が詰まっています。

約120年前の民法で今生活!?

※参照:日本の家族と民法|名古屋大学大学院法学研究科教授 加賀山 茂

単独親権制の日本での虐待の実態

参照:【資料6】児童虐待の状況等|厚生労働省

単独親権制が残る日本での虐待加害者は約52.3%が「実母」です。次いで実父が約34.5%、実父以外の父が6.3%、実母以外の母が約0.8%。

虐待死や心中による子どもの死亡報告は年々増加傾向になっています。上記同参照元によると児童虐待相談件数は、2014年度( 平成26年度 )までの13年間で7.6倍に増えているようです。

背景になにがあるんやろか

単独親権から虐待を考える重要性

虐待加害者に実母が多い結果には、単独親権の社会背景が想像されます。 母親がひとりで子育てする時間が長いからといえそうです。

つまり子どもと多く接しているのが母親だから、虐待加害者に母親が多くなる結果に。または父親の母親へのサポートが追い付いていないともいえそうです。

日本の家庭内でどのような子育て分担がなされているかが浮き彫りになっています。併せて2009年度(平成21年度)の虐待加害者はこんな数値です。

  • 実父25.8%
  • 実母58.8%

実父は増加、実母は減少し、2014年度までの5年間で約10%の数値の上下がみられます。母親の子育て比重の大きさの一方で、父親の育児参加率の上昇も読み取れそうです。

※参照:児童虐待防止対策について|厚生労働省

単独親権脳のリセットが虐待を減らす

単独親権が踏襲する家制度の感覚は「支配」の概念を無意識下で育みます。つまり親が我が子を「所有物」のように扱う子育てに疑問を抱きにくいのです。

併せて私たち日本人は人権意識も低く、子どもの人権にいたっては世界との意識の差が顕著です。

たとえば子どもの権利条約への批准は158番目。加盟国は現在196ヵ国です。子どもの権利を守る法律も日本にはありません。

2022年4月に「子ども基本法案」が国会に提出。2023年4月施行予定。

単独親権の概念とチルドレンファーストは相性悪し

【参照】
子ども基本法WEBサイト|日本財団
「子どもの人権」日本で理解進まないのはなぜ? 国連の「権利条約」世界158番目批准から28年、やっと議論開始|東京新聞

単独親権制下での虐待の問題点

繰り返しになりますが、単独親権の家族観は「支配/従属」が根っこにあります。この家族観は「家庭=女性」「仕事=男性」を社会通念化させて、2022年の今も私たちの心のどこかに残しているようです。

そんな世界で女性は仕事をしつつ、「子育て=母親」の重圧も社会から背負うのです。仮にシングルマザーであれば圧はさらに強まります。ひとり親家庭の貧困率約50%の数値からみてもわかりやすいです。

ひとり親家庭の相対的貧困率はOECDで最下位
※参照:子どもの貧困|内閣府

父親の子育て参加は一般的になってきているようですが、まだまだ社会の無言圧は強そうです。男女ともに産前/産後/育児の休暇を、心地よく取れない状況が多い気がします。

虐待は親を取り囲む社会が作り出しているともいえそうです。

※参照:ひとり親家庭の支援について|厚生労働省

単独親権から派生する子の連れ去りは虐待

単独親権をめぐる社会問題に「子の連れ去り」があります。問題の流れはこんな感じ。

  • 片親が子どもを連れて別居をはじめる
  • 子どもと別居する親が会えなくなる
  • 連れ去った親がそのまま単独親権者へ
  • 子どもと別居親が生き別れになる

日本の子の連れ去りは「実子拉致/誘拐」として国際問題に発展しています。なぜなら諸外国では、子どもを親から引き離す行為を虐待として認識しているからです。

子ども目線で考えると、ある日突然説明もなく、お父さんかお母さんと会えなくなる現実は不安でたまらないはずです。連れ去り別居を虐待ととらえるには、チルドレンファーストの意識が問われそうです。

親権制が親子に優しければ虐待も減る

親子や家族の概念を作り出す親権制が、親子にとって優しい制度であれば虐待は減る気がします。

親子関係の育み方を知らない大人が親になってしまう現実があります。もちろん多様な原因がありますが、「家族」の大きな概念を生み出すのは制度であり社会です。

親子の愛が育まれる親権制度を願って病みません。

自分で思考するのが大切
法に惑わされたらあかん

タロジロへ

救出作戦を実行に移せそうにないから別の方法を考えるな。公的機関との会話スキルがお母ちゃんにはまだ足りん。

大人の世界にはおもしろい慣習がたくさんあるんや。 

でも捨てたもんやない大人もたくさんいるから。 

しっかり見極めて素敵な大人についていきや。いろんな場所へ行っていろんな人と会うんやで。とにかく多様な価値観にふれるのがおすすめです。

大きな世界で生きればきっと大きな人間になれるから。

タロジロが信じたことなら人の目なんか気にせんでもええ。誰が何と言おうとお母ちゃんがいつも味方やで!

ほんでお母ちゃんも頑張る。 




きっと大丈夫。 
あなたもがんばって。

しなやかな心と鬼メンタルの種まき